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Stigmergyという協調作業の形態
同僚のLars Runeが、最近主張している協調作業におけるキーとなる概念Stigmergy。少々複雑な概念で、理解するまでに時間がかかった。

日本語では、「間接的なインタラクション」と訳されている記事を見つけた。また、「今まさに形成されつつあるシステムの中でのコミュニケーションの方法でそこでは個人は他人とコミュニケートするために自分の周囲の環境に合わせるというもの」という解説などもある。もとは、アリがアリ山を作る際の行動を分析した生物学から出てきた考えのようなのだけれど、この概念の情報学への応用が、近年見られているようだ。

Wikiに見られる共同編集やLinuxの開発などにおいて、他の作業者と直接コミュニケーションしているわけではないけれど、編集者やプログラマーは構築されたWikiやLinuxコードを分析し、理解し、データやコードを付加していく。つまり、自分の立ち居地を周囲の環境から判断し、自分がすべき行為を洗い出し、行動に移していく。

私の対象としている協調作業の初期のオープンエンドの協調創造デザイン段階は、もう少し互いがより関連しあう状況を対象にしており、協調作業として、創造活動が見られる。一方で、目的がはっきりしており、仕事の分担などが求められる協調活動では、Stigmergyが見られる場合がある、といえるだろうか。

# by interactiondesign | 2009-04-22 05:03 | 研究


日本の研究環境の良い点、アメリカの良い点
異なる文化の方法を取り入れてうまくいくこともあれば、うまくいかないこともある。ローカライズの必要性は、日本の今までの外国のものを受けれいれてきた歴史が証明してるようだが、しばらくの間、それが忘れ去られてしまっていたようだ。
数年前に、同様の論をアメリカ側から聞いたことがある。90年代前半の日本の躍進を受けて、日本のものづくりが素晴らしいとからと、日本の方法を真似したアメリカ。日本の方法をそのまま取り入れたから、失敗に終わった、という。局所的な真似事は、いずれにせよ、受け入れられずに、180度反対の意見が大勢を占めて終了してしまうようだ。

では、アメリカでの日本でもなく、異文化間の協調作業を行う環境では、どのような文化を取り入れればいいのだろうか。


日本経済新聞2009.1.1
日本のものづくりの特徴は、チームワークです。でも、それが単に空気を読みあう仲良しクラブにとどまっている場合もある。日本がものづくりで世界のトップから転落しそうになったとき、ある種の誤解ができてしまったと思います。
「チームワークは、独創力と競争力を低下させる元凶。これからの日本は、世界最先端の研究開発を行わなければならない。だから、独創的。カリスマ的エリートを育てて採用し、その人が部下を指導すれば、日本は良くなる」という誤解です。
せっかく行ってきたことを大改造しなければならないほど、私たちは大失敗したのでしょうか。ものづくりにチームワークは必須です。せっかく根付いているシステムを生かして、ちょっと作りかえればいいと思います。一人で全部をできるはすがないですから。チームワークの場は、若い人たちが学んで育っていく教育の場、道場にもなると思います。

日本のものづくり文化は素晴らしいですが、もちろん欧米にもいい点が沢山あります。米国でよくお会いする方々は、こちらがこそばゆくなるくらいうまくほめてくれるのです。たとえば、「それ、すごいね」英語で言えば、excellentとかexcitingとか、あるいはgood jobと、ほんのちょっとしたアイディアでも言ってくれるのです。なにか壁にぶち当たったとき、失敗したときに、次は頑張ろうという力がわきます。
ものづくりで生み出した製品に、失敗、不具合は禁物。だからこれまで失敗を避けることばかりに注意が注がれていました。しかし最先端の製品を開発する場合、ほとんどが失敗。その失敗を乗り越えるためには、欧米型の褒めて育てるという文化も取り入れたほうがいいでしょう。
# by interactiondesign | 2009-01-04 22:11 | 研究


異文化間の協調作業支援
異文化間の協調作業支援というのが、私の研究のテーマ。
背景知識が異なる人たちがどのように協調作業をしていくかを解明し、コンピュータでどのように支援できるか、コンピュータデザインを考える。

コペンハーゲンビジネススクールのセミナーで出会った教授から、お薦めのワークショップがあると紹介されたのがACM International Workshop on Intercultural Collaboration (IWIC 2009)

募集要項を見て、あまりにも興味に合致するので、驚いた。
しかし、それもそのはず。チェアーの一人が、元々私が現在のテーマに興味を持つきっかけとなった教授だった。
# by interactiondesign | 2008-06-15 23:25 | 研究


日本の研究界の「外国語能力」
先ごろ、JETROから、
「平成19年度 欧米アジアの外国企業の対日投資関心度調査」
が、発表された。

その中で目を引くのが、
"日本の魅力は「研究開発」(その他は「運輸・物流インフラ」、「電機・情報通信インフラ」)
"であるということ。日本の研究開発が高評価を得ているということは、科学立国日本に貢献したいと考えている私にとって、非常にうれしいことである。ただ、日本の課題として、「ビジネスコスト」の次に、「外国語能力」
が挙げられていることが気になった。

自分の英語能力を棚に上げてのコメントで恐縮だが、日本の研究室に所属していた折、教授・学生・事務といった大学全体の要員の英語能力の低さに、大変残念に思ったことが多々ある。一応、日本でも有数の大学で、海外から教授や学生が訪問してくる機会が多かったのだが、彼らが数ヶ月滞在している間に、話しかけたり、議論が活発に行われたかというと、疑問である。博士を日本の大学院で取得しようという意欲あふれて日本に来た研究者の卵たちも、しばらくすると、一部所在なさげな雰囲気を漂わせるようになる。孤独を感じていると告白されたことも多々ある。

興味を持って、日本に来た研究者が、再度日本に滞在し、研究したいと思うほどに、実りのある研究生活を送ることができているのだろうか。日本政府・大学は、沢山の支援金を海外若手研究者に提供しているが、資金的な魅力だけではなく、充実した研究環境を与えることにも注力してみても良いのではないだろうか。自分が、アメリカの大学での知的好奇心を満足させられる環境を与えてもらっていたがゆえに、余計に気になるところである。

# by interactiondesign | 2008-04-11 03:46 | 研究界


インタラクションデザインの教科書
インタラクションデザインとは、私が研究しているテーマであるけれど、それはなにか?と問われると、うまく説明するのが未だに難しい。私がする説明は、「人と人がインタラクション(対話)する際の仲介をするシステムの操作系と表現系のデザイン」。私の研究はそのデザインとはどのようなものなのか理解すること。としているけれど、完全にインタラクションデザインの本質を表現できているかというと、心もとない。

インタラクションデザインは、HCI、認知科学や人間工学など複数分野にまたがって発生した学際分野なので、今でも手探りで研究している人が多い分野でもある。それぞれの人がそれぞれの見方を提示しており、まとまった見解は、まだない。

最近、「http://www.designit.jp/archives/2008/07/interactiondesign_intro.html」が発売された。今まで、基盤とするものがなかっただけに、インタラクションデザインの概要が包括された書籍は、たたき台としても、非常に役に立つ。以下のリンクから、中身が覗ける。
http://www.designit.jp/archives/2008/07/interactiondesign_intro.html
# by interactiondesign | 2008-04-04 07:01 | 研究


アップルのスティーブ・ジョブズ
アップルの創業者でもあり現CEOのスティーブ・ジョブズが2005年に行った卒業式スピーチで、心に残ったことがある。

大学を中退した時期に好きな科目のみをとったというくだり。マッキントッシュをデザインする際に、そのときに受けた授業で学んだ様々なフォントが役にたったのだという。

人生で無駄な事は無いというメッセージであるとともに、使いやすい、斬新なデザインのネタが、人間が歴史の中で積み重ねて来たものの中から見つかるという点が興味深く感じられた。

スティーブ・ジョブスの評価として、自己中心的だとか競争心が強いとか言われるのだが、解りやすい構成の、練りに練られたスピーチからは、彼の努力が見えてくるし、あくの強い人だからこそ、製品にも見られる主張が、受け手に強く伝わってくるんじゃないだろうか。

心地いいデザインの数々の源であるスティーブ・ジョブスその人を知る事で、アップルのデザインの秘密が見えるのではないかな、と。

参照
スティーブ・ジョブズを知るための動画七選;若かりし頃から復活まで
偽ジョブス(フォーチュンのダン・リオンズ記者)によるスティーブ・ジョブズブログ

# by interactiondesign | 2008-03-23 22:34 | 研究


人間の認知能力と身体性
人の身体性が認知や記憶に重要であるということは、90年代前半から、認知科学の世界でも言われています。「分散認知」で有名なハッチンズ(Cognition in wild [Hatchens 95])は、空間的に分散している領域が統合されて、一つの目的志向型の行為を生み出すと述べていますし、協調作業における物理的コンピュータ環境の重要性も慶応のXXX氏によって、主張されています。どちらも、周囲の環境とインタラクションすることが、目的達成に不可欠であるというのです。人間の認知は、脳がどのように働くか、コンピュータのような脳のモデルが検証されることが主流でしたが、脳に閉じた認知ではなく、人間の環境まで、考慮に入れた認知研究が新しい視点として加わり始めました。(要確認)

2008年2月23日の読売新聞の特集記事「日本の知力」で、"体動かす、脳が育つ"と赤ちゃんの身体性が紹介されていました。近年の認知発達学の分野では"主体的に動くことで赤ちゃんは「床」を発見し、「空間」を自分のものにする"という主張がされているそうです。ジョンロック流の「赤ちゃんはまっさらな状態」という見方から、赤ちゃんは「子宮内で、...自分の身体をはっきりと認識」し「産声を上げるやいなや、この身体をフルに使って、外界環境への冒険を始める」という方向に変わって来ているということです。すなわち、発達障害は、心の問題というよりは、身体性が原因では無いかと、考える向きも出ているようです。記事は、身体を使うことと脳の関係が非常に深いこと、子供の社会能力や知力を鍛え発達促進するには、体を動かし外界とインタラクションを行うことが大切であるとして、締めくくっています。

協調作業支援においても、身体性を考慮すべく物理的環境に目を向ける必要があるのか、と少々考えていました。
# by interactiondesign | 2008-02-25 03:45 | 研究


人間工学に基づいた製品を作るergonomidesign
スウェーデン、デンマークは、デザイン先進国と言われることが多いのだけれど、たしかに、「使いやすいデザイン」にアンテナが高い人が多い。皆が「腰に負担をかけないように、このいすを使う」などという話をしていたら、確かに、日常的に「デザイン」は、どうあるべきかといった視点を取り入れるようになるのだろう。福祉国家と言われ、福祉に膨大な予算配分(再配分)を行っていることとも、関係があるのだろうか。

以前SAS(スカンジナビア航空)に乗ったときに気になったコーヒーポット。ちょっと不思議なデザインで、一見したときに、デザインコンシャスと勘違いしている人が、自己満足で作ったのでは、などと、考えていたのだけれど、このコーヒーポットは、持ち手に工夫がされていて、乗務員の手首の負傷を大幅に減らしたんだそうだ。

このコーヒーポットを代表として、他にも、「使いやすいデザイン」が沢山のデザイン集団Ergonomidesign注目です。

# by interactiondesign | 2008-01-17 18:16 | 研究


空港で迷わないために
インフォメーションデザインを行っている会社に行って、フィールドワークを行った。
会社の名前は、Triagonal

# by interactiondesign | 2007-11-07 02:21 | 研究


科学哲学入門
科学哲学(Philosophy of Science)という授業をとりました。

ヨーロッパアカデミアでは、単にシステムを構築するというだけではなく、科学とは何か、科学的真理とは何か、と考えることが必要だとするカルチャーが根強くあります。例えば、Semanticsを議論するのであれば、なぜ、「意味」が存在するのか、「意味」とは何か、「コトバ」とは何かをまず考えるべきであるとします。「コトバ」という用語を用いるのであれば、どのような科学的立場に立って、その用語を用いるのか、定義を確実にせよ、その上で議論せよ、と言うことです。

もともと自然には、摂理があり、その摂理を見つけ出そうとする立場と、もともと意味と言うものは存在せず社会での関係性の中に生まれるものであるとする場合とで、導かれる議論は異なってくるからです。

コンピュータシステム評価は、今でも、定量的分析が主流です。しかし、システムの詳細を決定するためならばまだしも、利便性などを問うのであれば、定量的手法のみでよいのでしょうか。ユーザビリティは、コンピュータに仲介された人間同士、コンピュータと人間との関係性の中にあります。人間が、社会的な存在である以上、定量的手法のみの分析には、限界があると考えられます。

科学哲学の理論からみることで、果たして定性的手法がいつでも必要なのか、定量的手法のみで良いのか、という議論の枠組みが提供できるのではないでしょうか。

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さまざまな科学的手法と、それぞれの立場、反論があることを知った。
自然科学では、真理が存在するという立場に立つというPositivismが主流であるが、次第に、社会との関係性が意味を決定付けるというPragmatismなどの立場が見られるようになる。

参考
Lars Qvortrup http://www.qvortrup.info/
Hypercomplex societyを、Information Societyの代わりに使おうと言う。現在の複雑な情報社会を分析する。

Jennifer Greene WEB
quantitative and evaluative reserach methods (定量、定性分析の両方を用いる)
# by interactiondesign | 2007-08-31 20:05 | 研究

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